プレスリリース: 金星大気高層における重水素/水素比率の劇的増加 ─大部分の水が消失した過程の解明に一歩─
図. 本研究で提案された金星上層の水循環の概念図 ©Mathieux et al.
ベルギー王立宇宙航空研究所(BIRA-IASB)のArnaud Mahiuex研究員と東北大学大学院理学研究科の狩生宏喜大学院生、中川広務准教授らを中心とした国際研究チームは、金星探査機Venus Expressのデータを用いて、金星大気中に含まれる水蒸気およびその同位体比が高度70 kmから100 kmにかけて劇的に増加することを示しました。この結果により、金星大気中の水循環の解釈の変更が必要となり、これまで考えられてこなかったエアロゾルの凝結と蒸発を含んだ新たな水循環を提案しました。高度100 km付近の水蒸気は、水素原子の大気散逸と深く関わっているため、本研究によりエアロゾルの効果を含めた金星水進化シナリオの発展が期待されます。この成果は総合科学学術誌米国科学アカデミー紀要(PNAS)に2024年8月12日付で掲載されました。
詳しくは東北大学理学研究科のプレスリリースをご覧ください。
タイトル:Unexpected increase of the deuterium to hydrogen ratio in the Venus mesosphere
著者:Arnaud Mahieux, S. Viscardy, R. V. Yelle, H. Karyu, S. Chamberlain, S. Robert, A. Piccialli, L. Trompet, J. T. Erwin, S. Ubukata, H. Nakagawa, S. Koyama, R. Maggiolo, N. Pereira, G. Cessateur, Y. Willame, and A. C. Vandaele
掲載誌:Proceedings of National Academy of Sciences
DOI:10.1073/pnas.2401638121