[2016/8/6] 上杉神社に参拝 〜ERG衛星の射場出荷へ〜
(by 笠羽)
ジオスペース探査衛星ERGの,射場(鹿児島県・内之浦)への出荷に向けた最終試験が終盤となりつつあります.私はこれに搭載する主要機器の1つPlasma Wave Experimentの責任者の片割れですが(PI:金沢大・笠原さん,Co-PI:京都大・小嶋さん,金沢大・八木谷さん,私.他にも富山県大,名古屋大など),うちの機器は衛星レベル試験に入った3月以降,二週間に一度ぐらいのペースで各種様々なトラブルに見舞われております.何が起きどう解決してきたか,「打上がうまくいき,うちの15m アンテナ4本が無事宇宙空間で伸展を遂げたら」紹介いたしますが,まずはさっさと心置きなく宇宙に向かっていただきたい・・・のだが,自分の日頃の行いには確信を持てないので,「神頼み」もせねばなるまい.
・・・ということで,本日,山形県は米沢市にある上杉神社を巡礼して参りました.仙台から110 km.「福島飯坂で東北道を降り国道13号経由」で二時間弱です.旧米沢城の丸の内にあり,城趾内には「伊達政宗生誕の地」の碑が・・・ん? 伊達家は元々は福島〜米沢が本拠で,秀吉に飛ばされ宮城に移ったんでしたね!
とはいえ,我が家から徒歩10分の大崎八幡宮(うちの散歩コース.でも本殿は国宝)ではなく「上杉神社」のお札にした理由は,伊達家にではなく,日本の宇宙科学に由来します.私のD論ネタとなった日米共同磁気圏観測衛星Geotail(1992年,米・ケネディ宇宙センターから打上)を運用していた宇宙研の部屋には「上杉神社」のお札が飾ってありました.上杉神社といえば上杉先生.宇宙研の元「大ボス」,Geotailでは工学側の総元締.運用当番が回ってくるたびにお世話になりました.GeotailはJAXAの最長寿衛星(だと思う)としてほぼ無傷のまま未だに飛んでいるので,「あやかっておこう」という趣旨です.ERG関係者の中で米沢に最も近いのは東北大メンバーですので,僭越ながら全国・台湾および世界に散らばる全関係者を代表し,(うちの研究室用と)宇宙研の衛星試験室・運用室用のお札を頂いて参りました.8/10に宇宙研側コアメンバー(篠原・高嶋)に押し付ける予定です.ついでに,NEC・ERG担当の氏家さん(本研究室OG.東北大初代小型衛星の主)用の「かねたん印」お菓子も持っていくので,ついでにお渡しをお願いする予定です.
上杉先生のご退任は2006年,もう10年前です.が,その後もハワイの空港のチェックインカウンターでばったりお会いしたこともあり(宇宙工学の国際研究会が私が観測に行った週にあったらしい),お元気なようでなによりです.上杉家代々の皆様共々,我々をお護りくださいませ.このお札の霊験あらたかに,ERGが予定される使命を全うせんことを祈ります.
(これでもまだ何か起きるようなら,伊達家代々の皆様のお力も借りに,大崎八幡宮にも行かねばなるまい...こちらはいつでも行けますけど.青葉城趾を引き継がせて頂いた東北大がやっている仕事でございますので,そのよしみでどうぞ我々をお護りください.)