[2016/1/23-24] SUBARU木星観測:COMICS

(by 笠羽)
ハワイ島・マウナケア山頂のSubaru 8m望遠鏡による木星観測に行ってきました。2016年7月に木星周回軌道に入るアメリカ・NASAの探査機 Junoとの共同観測準備の一環をなすものです。
現地参加者は、私(観測責任者)、佐藤隆雄くん(本研究室で2012/3博士。JAXA宇宙科学研)、Glenn Orton(NASA/ジェット推進研究所[JPL])、彼のPDであるJames Sinclairの4名。これに、リモート接続の青木翔平くん(本研究室で2014/3博士。イタリアIAPS)他イタリアメンバー。

日頃の行いもあり、まるまる二晩ほぼ快晴!湿度も5-8 %、水蒸気吸収を嫌う赤外線観測としてはほぼ完璧な条件! ハワイの冬は一般に天気はよろしくなく、実に素晴らしい2晩でした。計画した小惑星Vesta、天王星、土星の中間赤外線観測(7.5-25 μm)に完璧に成功。Subaru・COMICS(冷却中間赤外線分光撮像器)での観測ですが、近年ではほぼ世界唯一の広帯域中間赤外分光が可能な装置です。この能力を持たない探査機への支援手段として大変貴重。ぜひ、今後もご活躍いただきたいものです。
木星もそうですが、VestaはNASA小惑星探査機Dawnとの共同、天王星は欧米で計画途上の将来天王星探査機計画への支援、という意味あいです。貧乏国家に住んでいるとなかなか自前の探査機を持てる機会に恵まれませんが、こうして世界の探査計画へ参加・連携を図っているわけです。ハレアカラの日本の惑星研究活動における重要性もそういうところにあり、3月にはコロラド大で開かれるJunoサイエンスチーム会合で5−7月の観測計画調整に行ってくる予定です。

なお今回の観測は、長い放浪を終えて周回観測を開始しつつある日本の金星探査機あかつきとの共同観測準備の一環でもあります。来年1月前後に地上観測好適期を迎える金星を、探査機ではできないこの観測で支援する予定で、この中核をなす佐藤くんの活躍に乞う期待です。1601Subaru_1
なぜか青く染められたSubaru望遠鏡のカセグレン焦点(下端)に鎮座する巨大な「COMICS」くんと、今回の観測メンバー4人。二日目の観測開始直前。「1日目はすでに成功!」しているためやや余裕の表情。それにしても望遠鏡も装置も大きい(上)。人をカメラに近づけるとようやく「普通の望遠鏡」に見えます(下)。数kgで「重い!でかい!」とけなされる探査機の搭載観測装置からすれば、非常識としかいいようがない大きさ。
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「二日目も観測成功。終了!」を受けての記念写真。左から、COMICSサポートの藤吉さん(国立天文台)、James Sinclair(NASA/JPL)、佐藤隆雄(JAXA)、Glenn Orton (NASA/JPL)、私。
一見笑顔に見えますが、「眠い(二晩フルはさすがに)・・・」「薄い(0.6気圧)。。。」
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