[2015/4/20-24] 欧惑星探査機への巡業:火星探査機と木星探査機

(by 笠羽)
欧州の惑星探査機に関わる二つの会議をはしごして参りました。

4/20-21には、ベルギー・リエージュのLiege Space Centreにて。2016年打上予定の欧火星探査機 ExoMars Trace Gas Orbiter(TGO)に搭載の赤外線分光器 NOMAD のチーム会合。ようやく、フライトモデルの試験がほぼ終了したタイミングでの会合です。チームの主体はベルギー・イタリアで、Mars Expressに絡んで長年のお付き合いであるイタリア・IAPSのMarco Giurannaや昨年12月からあちらで働く青木翔平くんと漫談しつつの、楽しい研究会でした。
NOMADは、ロシア・フランス組の ACS とともに、火星周回軌道で初の精密な大気組成・高度分布の分析を可能とします。二日目には、このテーマに絡んでうちがMarcoたちと進めてきた探査機・地上観測研究の紹介とこのミッションへの期待、ついでに本学ハレアカラ60cm望遠鏡と中川くん進める赤外線ヘテロダインの現状紹介もしてきました。
起源が謎のままの火星メタン観測といえば「イタリア組とNASA組」なのですが、NASA組の重鎮 M. Mumma (GSFC) ともえらくマニアックな会話をしてきました。考えたら、我々とイタリア組とNASA組しか、現時点ではこのテーマに関わる観測はしていない・・・・ので、自ずから苦労話になります。Mummaはその昔ヘテロダインもやっていたし、中川くんが最近遊んでいただいているTed Kostiuk (同じくGSFC)と一緒のところですので、うちの60cmにも妙に突っ込みが厳しい。

4/21夕に電車でパリに移動し、4/22-24には、パリ第六大学(ノートルダム寺院近く)のプラズマ研究所(LPP)。2022年打上予定の欧木星探査機 JUICE 搭載の電波・プラズマ波動観測器 RPWI のチーム会合。こちらは、2016年1月に初の「試作モデルを持ち寄った統合試験」をすべく、この会合で「設計を決める!」段階。うちからは、高周波電波(80k – 45MHz)をカバーする電波観測レシーバーを提供(スウェーデン・IRFUポーランド・SRC [Poland語ではCBK, 宇宙研究センター]との共同)する「現物提供参加」になります。
このチームのSweden・France組は、オランダ・ライデン近郊のESA/ESTECでフライト前試験に入りつつある BepiColombo / MMO (ESA担当のMPOと統合され、2017年打上予定)のPWIチームで延々とお付き合いする仲です。Poland組は我々は初めてですが(加えてチェコ組が参加)、5月末に設計確定する担当部分の設計をようやくほぼ確定できる交渉・調整が済みました。これで、木星電波や、それを使ったガリレオ衛星の上空大気および地下海の遠隔探査が、実際にできるかな、という気分に。
晩には、同じキャンパスの LATMOS、すなわち先日阪本くんが訪問したところで未だのうのうと遊んでいる寺田くんを捕まえて、垰さん(IRAP・ツールーズからこの会合に参加)・東北大組でのんびり夕ご飯を食べました。まあ、最近はメールやSKYPEで結構日常的な会話・雑用は一緒にやってしまえるので、「久しぶりという感じがまったくしないねえ」。香織さんやお子さんともども、7月までのんびりお過ごしください。その後はまったく保証いたしませんが。

(初の投稿ですね。まだ習慣になっていないので、写真がないぞ。)
JUICE RPWIチーム:全員集合!

RPWI全チームメンバー! 日本からは、私・三澤・加藤(東北大)と奈良さん・谷本さん(明星電気)が参加。IRAP(ツールーズ)で働いている垰さんもあちらのメンバーとして来たので、結構な割合です。

ポーランド Space Research Centreの機構技術者 Marta Tokarzさんと。
メール
でいろいろお仕事を投げている「相方」、Poland Space Reserch Center (SRC)のMartaさん。うちが入る「アンテナプリアンプ」の「アンテナ部・シャーシー部」すなわち機械部分を作ってくれる方。いろいろ無理言ってすみませんね。どうもありがとうございます。