38億年前、火星には雨と雪が降った? 全球気候モデルが示した流水地形の再現メカニズム

2018年春に修士課程を修了した鎌田君の研究成果です。

A. Kamada, T. Kuroda. Y. Kasaba, N. Terada, H. Nakagawa, K. Toriumi
A coupled atmosphere-hydrosphere global climate model of early Mars: A ‘cool and wet’ scenario for the formation of water channels
Icarus, Vol. 338 (1 March 2020)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0019103518300927

理学研究科Webのお知らせ記事
https://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20200302-10984.html

火星の地表面には約38億年前にできた液体の水が流れた痕とされる「流水地形(バレーネットワーク)」が数多くありますが、それらの形成に必要な温暖な気候を維持する仕組みはわかっていません。これは、当時の太陽が現在より暗く、二酸化炭素の濃い大気をもたせても十分に暖まらないためです。本研究は、この時代の火星の気候と流水を再現できる新たなモデルを開発し、当時の火星が夏に降雨、冬に積雪する「冷涼・湿潤」な気候である可能性を示し、またこの気候が約100万年継続すれば現在の流水地形が形成できることを示しました。これは、隕石の衝突や火山の噴火など突発的な温暖化を考慮しなくても地表に流水が存在しえたことを初めて提唱する結果です。地表に液体の水を持った「第2の地球」の探索に新たなヒントを与えるものです。