[2017/4/11] うちの機器@あらせ君,宇宙に響く「ぴよぴよ」声を捉える!

(by 笠羽)
JAXAのジオスペース観測衛星・あらせ君 [ERG: Exploration of energization and Radiation in Geospace] が,約3か月にわたる観測準備を無事終了し、3月24日から定常運用に移行しました。太陽活動に伴って大きく変動する地球周辺の宇宙空間、人類の宇宙活動の現場でもあるこの領域での高エネルギー粒子や電磁波などの観測が本格的に始まります。
[JAXA発表: http://www.isas.jaxa.jp/topics/000920.html]

この衛星プロジェクトは、平成25年12月に逝去された小野高幸名誉教授をリーダーとして開始されました。小野教授の心血が注がれたこの衛星には、私他の本学メンバーもまた心血を注いたプラズマ波動・電場観測器(PWE) [この紹介Webを作ろうとしていますが,暇がない・・・]、およびPWEを含め複数機器の観測データをまとめて処理するS-WPIA(ソフトウェア型波動-粒子相互作用解析装置)が搭載され、本衛星の主役をなします。
[東北大学の関わり] http://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20161003-8051.html

現在,地球上各点に配置されたオーロラ観測拠点などとの共同観測を実施中(明日〜明後日,この総括研究会があります)で,その基本となる「コーラス」電波を確実にとらえることに成功しました・・・ので,最初のプレスリリースをだしました。可聴域でもある数kHzの周波数帯で発生し、音声に変換すると「小鳥のさえずり」が聞こえます(笠原さん@金沢大Webで聞くことができます)。このコーラスは、高エネルギー粒子群に満ち溢れた「ヴァン・アレン帯(放射線帯)」の消長に関わると提唱されており,あらせ君による「太陽によって変動する宇宙環境の擾乱」において最初の本命目標です.
なお,この電波を捉えるため,この衛星に関係する方々には,我々の一方的お願いである「電場の雑音出さないでね!」「磁場の雑音出さないでね!」「30mのアンテナ,ちゃんと伸ばしてね!」・・・という度重なるわがままに耐えて頂きました.チームの一員として,ここで深く御礼申し上げます.
次の発表としては,「ぴよぴよ声が電子を揺らす様を捉える! (by SWPIA)」を目指します.
[東北大学Press Release] http://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20170411-9033.html
[金沢大学Press Release] https://www.kanazawa-u.ac.jp/rd/45590

<下図> 電場X/Y/Z,磁場X/Y/Zの6成分で見える「コーラス」電波(横軸:8秒間,縦軸:0-2kHz).この電波によって宇宙空間の電子が揺らされ,また電子が揺れてこの電波を作り・・・・というエネルギーのやりとりが,光速に近い速度で飛び回る放射線帯の粒子を作る・・・とされています.この確定的証拠を握るのが,ERGの目標の1つ.なお,宇宙を飛翔する衛星・探査機や有人活動は,こうした高い放射線を避け,また耐えながら,やっていく必要があります.(我々の場合,もっとひどい「木星」の環境で動かす必要があります....)

<おまけの図> 放射線帯(ヴァンアレン帯)を飛翔するあらせ君(© ERG project)と,それを見守る上杉神社のお札(1つは私の部屋,もう1つは宇宙研の運用室にあり).
ERG (© ERG project)MINOLTA DIGITAL CAMERA