火星大気進化〜光化学モデルの開発

研究概要:

一言で言うと、、、
過去の火星や系外惑星(太陽系の外にある惑星)の大気が惑星の誕生から現在までにどのように変化してきたか?について研究しています。

現在の地球では1気圧の大気が存在して、N2: 78%、O2: 21%、アルゴン、二酸化炭素、、というような組成で構成されています。しかし、現在の火星大気はほとんどが二酸化炭素で大気量も現在の地球のおよそ1/100です。惑星によって大気は様々です。

それでは過去の火星はどんな大気だったのでしょうか?
過去の火星には液体の水が存在していた痕跡があることから現在よりも厚い大気が存在しただろうと推測されています。ただ、詳しい大気組成などは分かっていないことだらけです。

そこで私は大気の光化学モデル(大気組成をシミュレーションできる)を使って、過去火星にどのような大気が存在していたかを調べています。この研究の最終的なゴールとしては、過去の火星に生命が存在できる環境が存在していたか?という問いに答えることです。これをモチベーションにし、存在するかも分からない地球外生命体を想像しながら日々研究をしています。

 

以下で一つ結果の一例を示します。

表面温度200K, 大気圧40mbarと仮定した時の大気密度プロファイル

上の図は光化学モデルで計算した結果をプロットしたものです。
現在の火星よりも少し厚い大気で、表面温度を200Kと仮定した時のそれぞれの化学種の密度プロファイルになります。縦軸が高度で横軸が数密度に対応しています。一番右側にある濃いオレンジの線が一酸化炭素で、その左の線が二酸化炭素です。
大気量が増加すると、現在のようにCO2が主成分である大気から、COが主成分である大気に変化する可能性があるとこの結果から分かりました。生命の誕生にはCO2が主成分の大気ではなく、還元的なCOが多い大気の方が適していると言われています。その観点からこの結果は今後観測で検証できたら面白いかもしれません。(修士2年 小山俊吾)

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