シミュレーションによる木星内部磁気圏の研究
木星の衛星イオからはガスやプラズマが木星磁気圏に放出されています。そのガスやプラズマはイオ軌道上にドーナッツ状に分布しています。これをイオプラズマトーラスと言います。
Hisaki衛星搭載の極端紫外線分光器EXCEEDによって、イオプラズマトーラス発光分布が朝側と夕側で非対称に変動することが観測されました。この非対称の変動はイオ軌道上に~3-7[mV/m]の電場が朝夕方向にかかることで説明でき、この電場の起源として太陽風の影響が示唆されています。
私は、この電場が本当に太陽風の影響により生成されるのかどうかをコンピューターシミュレーションを用いて解析しています。
上の図は木星磁気圏赤道面上のポテンシャル分布の解析結果です。中央の白い円が木星本体です。横軸は太陽から離れる方向を正に取っています。つまり、この図の左側に太陽があります。縦軸は木星の公転方向を正にしています。つまり、図の上側が朝側で、下側が夕側です。
朝側で赤くなっておりポテンシャルが正になっているのことが分かります。一方、夕側では青くなっており負に分布しています。このことから、朝側から夕側にかけて電場がかかっていることが確認できました。
[寺田綱一朗]