太陽高エネルギー粒子降り込みによる火星大気応答の観測
太陽高エネルギー粒子(Solar Energetic Particles:SEP)は陽子や電子、重イオンから構成される数十keVから数GeVの粒子で、コロナ質量放出や太陽フレアと呼ばれる爆発現象に伴って惑星間空間に大量に放出され伝搬していきます。2003年10月の大型フレア時には太陽高エネルギー粒子が地球の高度数十kmにまで侵入し、大気中のNO2増加とそれに伴うオゾン層の半減が報告されています(e.g., Seppälä et al., 2004; Rohen et al., 2005)。また太陽高エネルギー粒子は探査機・検出器などに損傷を起こすことで知られ、人体にも被曝により悪影響を及ぼすため火星で有人あるいは無人活動を行う際に太陽高エネルギー粒子の影響は極めて大きいと考えられます。しかし、火星周辺において太陽高エネルギー粒子が火星大気・表層環境にどのような影響を与えるのか解明されていません。そのため我々は、NASAの火星探査機MAVENの観測結果を解析することにより、太陽高エネルギー粒子が与える火星大気への影響について研究しています。(修士2年 晝場)
画像:https://mars.nasa.gov/resources/6588/artists-concept-of-nasas-maven-spacecraft-approaching-mars/より引用